斎藤和代/下村句里子/鼓代弥生
『MOTHERS–ID LYRIC』は、CAI現代芸術研究所第25期生、斎藤和代、下村句里子、鼓代弥生の3人の卒業展です。この(日本語では)タイトル、『母たちー私の唄/識別の所在』というタイトルは、3人共の共通項、「母親であること」を由来に付けられました。
それぞれの作品は、それぞれの身体―海―から生まれた唄であり、自分・アート・母親であることの観点において線引き行い、そこから見ることの距離と感覚を現しています。
IDはアイデンティティと識別情報、即ち自分からは決して切り離すことのできない項目―しかしそれは自分自身なのか、母親である(無い)こと、製作活動を行っている(いない)こと、生活と非生活の境について問いかけられ、またそれに問いかけです。その問いかけを行いつつ、また自分自身が問われながらそれぞれ制作を行なってきました。
母親業・主婦業においてアート作品を作る必要は無く成り立つものであり、アートの作成はあくまで個人的な魂の興味とコアに由来していると言えるでしょう。
今回の展示では、それぞれの作品を通して、過ごしてきた時間と感性、母親であることと個人であることの傾きについて感じてもらうきっかけになることでしょう。
あなたはあなたの母親を、「個人」や「一人の女性」と思ったことはあるでしょうか。
あなたはあなたの母親を、「母親」をいう型に当てはめて見続けてはいないでしょうか。
あなたはあなたの母親を、「一人の大人」もしくは「一人のこども」と思ったことはあるでしょうか。
あなたはあなたの母親を、「もし母親でなかったら」どのように見るでしょうか。
あなたはあなたの母親を、どこまで「知って」いるでしょうか。
カーネーションに込められるのは、愛情でしょうか。それとも妥性でしょうか。
送られなかったカーネーション、送らなかったカーネーションは、
今頃はどこの空中に浮かんでいるのでしょうか。
●performance
2021/5/8 18時
performance :donation
impro &bolero
出演:田仲ハル
音楽:鼓代弥生
鬼子母神と聖母マリア、子供を抱えた母親と、母親を抱えた子供たち。
全ての花は、海へと還り、またいつか海から生まれるーその傾きに対する場として。
協力:KAI-BYAKU collective