BLIND GARDEN
トロムソーニーザーサッポローニーザーカナザワーニーザーサッポロ
国内外で撮影された剥製たちの視線やドローイングから浸透した視線の触覚をCAI02の空間に持ち込み、見えない目に見えるもの、見えている目に見えないもの、それぞれの漂う視線が交錯する空間を作ろうとする試みです。
近年の思考と制作の主軸となっている感圧紙ノートのドローイングシリーズ「つるつるのみちをとおってかなたをさわりに」とそれを発展させたドローイングシリーズ「隙間の地形」、動物剥製の視線の先を追う写真のシリーズ「ガラスノメノシセン see out of sight」を中心に、空間や時間、刹那的な現象に由来する要素などを用いて仮設の地形をつくります。
なお、本展では浅井が2015年の札幌滞在時に撮影した作品も出品します。
本展の3つの作品シリーズについて
1.「つるつるのみちをとおってかなたをさわりに」
自作の感圧紙ノートに、一頁に一瞥の視線のみを描くことを繰り返す。視線の触覚は描画の圧力に置き換えられ複写され、混ざり混乱し消えていく。構成の手前で次のページにゆだねられたドローイングが進行し、空間と時間を往復しながら見る人の思考のなかに造形として立ち上がることをのぞむ。
2.「隙間の地形」
薄紙を重ねた中に時折カーボン紙が挟まれている。一頁に一瞥ずつ描き進めることでその数枚にわたる視線の痕跡が時間の隔たりをともなって紙の裏側に顕在されるドローイング作品。
3.「ガラスノメノシセン see out of sight」
2012年冬、ノルウェーのトロムソとシーボットンでの滞在をきっかけにスタートしたシリーズ。ノルウェーや日本各地でみつけた剥製と、それらが置かれた場所で止まったまま見つめ続ける視線の先を撮影し、死んでなお生きていた時の形を模している剥製の漂う視線を追う。見えない目が見る世界。分からない方を、暗い方を覗く、意味作用から切り離された眼差しの先に立ち現れる世界の構成要素を探り問いかける。