わたしたちは日々おおくの「選択」をし、「記憶」をつみかさね、ときに「制限」によって可能性をひらき、「未完成」のまま歩き続け、流れる「時間」の中に存在しつづけている。あしたはいつ、わたしたちの手のもとに来るのだろうか。今日はきのうになり、あしたが今日になる。まわりに散らばっている単なる時間軸を見つめていると、あっという間に、瞬く間に、幾重も混沌とした世界から無へと辿り着いてしまう。私は今年で25歳になる。人生100年時代において、すでに4分の1が経過したことになる。時が進むにつれて、時間はより早く、重たく感じられるようになった。
現代は、ひとつの判断を下すにも膨大な情報を精査しなければならず、無限の比較の中で「自分にとって正しい選択」を探し続けることが求められている。自己責任という言葉のもと、あらゆる局面で「選ばされる」社会の中に私たちは生きている。誰もが疲弊し、迷い、孤立しかけている。そのような混沌とした時間のなかで、私たちは次の「4分の1」へ進まなければならない。この時代と折り合いをつける手法は、わたしたちの内側に流れる時間に目を向けることにあると私は思っている。本展は、そのための実験であり、祈りでもある。日常にある「あしたをつくる要素」を5つに再構成し、新作のグラフィックとインスタレーションを制作。ポスター表現とインスタレーション表現は、似て非なるものごとだと思っている。それぞれに流れる時間は、かけがえのないあしたを寄せあつめたものなのだけれど、それが今日になった時に異なる表情を見せてくれる。あなたの“あした”が見つかる基地にぜひいらしてください。